当ジムの会員様の中にも睡眠の悩みを持たれるかたが多いのですが、生活習慣からの慢性的な睡眠不足が多いと感じています。
今回は、睡眠不足による睡眠負債が引き起こす健康への悪影響を紹介していきます。
睡眠時間が短い人ほど認知症のリスクが高いことが報告されています。
認知症の中で最も多いのがアルツハイマー病です。
アルツハイマー病とは、神経細胞が死滅して脳が萎縮する病気です。
アミロイドβは、脳の神経細胞にあるタンパク質が分解されて生じた断片にある脳の老廃物です。アミロイドβは脳内に蓄積するのが特徴で、脳の神経細胞を壊したり、記憶や思考に問題を生じさせていると考えられています。
脳や脊髄には脳脊髄液と呼ばれる体液があり、脳の動脈の周囲にある通り道(動脈周囲腔)から脳内に入り、老廃物を押し流しながら、静脈の周囲にある通り道(静脈周囲腔)を通って、脳内の老廃物を洗い流していると近年の研究で報告されていることがわかってきました。
脳脊髄液による洗い流しは、起きている時よりも、睡眠中に盛んに行われていることがわかってきています。
この報告が正しければ、睡眠時間が短い人ほど、脳の老廃物が十分に洗い流されず蓄積していき、アルツハイマー病等の脳疾患に繋がる可能性が高くなることがわかります。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が一時的に止まったり、浅くなったりする病気です。
大きなイビキをかく、10秒以上の呼吸停止(無呼吸)が1時間に5回以上、または7時間の睡眠中に30回以上ある場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
この病気は、日中の強い眠気、集中力の低下、生活習慣病のリスク増大など、様々な健康への影響を及ぼす可能性があります。
自身ではわからないので、身近な人から指摘されて気づくケースが多いのが特徴です。
病気に気づかずに過ごす、治療や改善するために行動しないでいると高血圧や糖尿病などの病気を招き、重度になると心疾患や脳梗塞などの脳血管障害にも繋がると言われています。
睡眠が何度も中断する、深い睡眠(ノンレム睡眠)が少なくなることで、身体が休まらず十分な休憩が取れません。
疲れが取れずに長時間の睡眠をとっているがスッキリしない、疲労感がとれないのも特徴の一つです。
空気の通り道(上気道)が狭くなる、塞がってしまうからです。
原因から主に2種類に分類されています。
①閉塞性睡眠時無呼吸症候群
・肥満や小さい顎、舌の根元が落ち込む舌根沈下、飲酒、睡眠薬の使用など
・アレルギーによる鼻炎などによって鼻ずまりから無呼吸になりやすい
・小児の場合は、アデノイド・扁桃が大きいせいで無呼吸を来すことがある
②中枢性無呼吸症候群
脳卒中や心機能低下において比較的よく見られますが、発症のメカニズムはまだ完全には解明されていません。
空気の通り道である気道が塞がらないようにすることです。
頭部の骨格や舌の大きさ、首周りに脂肪がたくさんあることから気道が塞がることが多く、肥満の場合は、痩せることで症状が改善するケースがあります。
しっかりとした睡眠をとることができることで、身体が回復し高血圧や糖尿病の症状が改善するケーズもあります。
治療法として代表的なのはCPAPを用いた持続陽圧呼吸療法です。
人工呼吸器のような装置でマスクを装着して持続的に空気圧をかけることによって上気道の閉塞を解除します。気道が広がり呼吸が回復する方法です。
睡眠負債は、睡眠障害に繋がり、重い疾患に繋がる可能性があります。
睡眠がしっかりとれているのか?寝たのに身体が回復している気がしないなどの不満や不安を持たれたら、日本睡眠学会認定専門医を受診して、まず現在の睡眠状態を確認されることをお勧めします。
また、LWSでは、睡眠改善のために睡眠時の気道が塞がる可能性を下る/改善するために、減量のプログラムと合わせて、姿勢評価とヒアリングから姿勢改善のエクササイズに優先度を持って実施しています。
・Newton別冊 「睡眠の教科書」
・兵庫医科大学病院 もっとよく知る!病気ガイド 「睡眠時無呼吸症候群」