「走っている(ウォーキングなど)人は健康的に見える、長生きしそう」
「走ることは関節にストレスはかからないのか?」
「そもそもどれくらい走るのが健康にベストなのか?」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
5万人以上を対象とした15年間にわたる大規模追跡調査から参考となる明確な結果が出ていることを紹介したいと思います。
「走ることは本当に健康に良い影響を与えるのか?」という疑問に、まず結論からお伝えすると、ランニングは進行性の心血管疾患による死亡のリスクを大幅に低下させる効果がありました。
また、定期的に走っている人は、ほぼ確実に特定のがん、肥満、糖尿病、脳卒中を含めた命に関わる病気になるリスクが減少しているという報告がありました。
進行性の心血管疾患の相対危険度(リスクの指標)の数値は以下の通りでした。
・非ランナーが走らない場合:1.00 (基準)
・非ランナーが新たに走り始めた(再開した)場合:0.70 (リスクが30%減少)
・長期にわたりランナーを継続している場合:0.55 (リスクが45%減少)
※ランナー(定期的に走っている人)の具体的な走行距離は記載されていません。

5万人以上(55,137人)を対象とした15年間の追跡調査によると、ランナーは非ランナーと比較して、心血管疾患による死亡リスクが45%低いことが示されています。
心血管疾患に限らず、全死因での死亡リスクもランナーは30%低くなっています。
新たに走り始めるだけでもリスクは下がりますが、長期的にランニングを習慣化することで、最も高いリスク軽減効果(0.55)が得られることがわかります。
ランニングを継続することは心血管系の健康を維持し、死亡リスクを劇的に下げるための非常に有効な手段であると言えます。
それではどのくらい走れば健康としてベストなのかを紹介していきます。
週に約16〜24km(10.0〜14.9マイル)のランニングを行うグループが、全死因および心血管疾患での死亡リスクが最も低い結果となっています。

非ランナー(基準値 1.00)と比較して、新たに走り始めた人は 0.70(30%減少)、長期的に習慣化しているランナーは0.55(45%減少) までリスクが低下します。

週に40km以上走るハードランナーの場合、リスク軽減効果がわずかに鈍化する傾向は見られますが、「全く運動をしない非ランナー」と比較すれば依然として遥かに低い死亡リスクを維持しています。最大のリスクは「走りすぎ」ではなく「運動不足」です。

全死因における死亡リスクを最も下げる走行距離は、週に10.0〜14.9マイル(約16〜24km)です。
詳細な分析結果は以下の通りでした
週の走行距離が増えるにつれて死亡リスク(相対危険度)は低下し、10.0〜14.9マイル付近で最低値を記録します。その後、走行距離がさらに増えるとリスクはわずかに上昇に転じる傾向がありますが、週に25マイル(約40km)以上走る場合でも、運動をしない人よりはるかに低いリスクを維持しています。
週にわずか数マイル走るだけでも、心血管系疾患による死亡リスクは非ランナーの約半分になることが示されています。
5万人以上を対象とした調査では、ランナーは非ランナーと比較して、全死因での死亡リスクが30%低く、心血管疾患による死亡リスクは45%も低いという結果が出ています。
結論として、最も効率的に死亡リスクを下げるのは週に16〜24km程度の走行ですが、それより短くても長くても、走る習慣があること自体が健康寿命を延ばす上で非常に有効です。

走りすぎ(過度なトレーニング量)による健康への影響については、以下のような分析結果が示されています。
調査データ(週間走行距離と相対危険度の関係)によると、死亡リスクが最も低くなるのは週に10.0〜14.9マイル(約16〜24km)程度走るグループです。
週の走行距離が20マイル(約32km)や25マイル(約40km)を超えると、最もリスクが低いグループに比べて死亡リスクがわずかに上昇に転じる傾向が見られます。
非ランナーとの比較として、重要な点は、たとえ週に25マイル(約40km)以上走るような「走りすぎ」と言われるレベルのランナーであっても、運動を全くしない非ランナーに比べれば、死亡リスクは依然としてはるかに低いことが示されています。
死亡リスクという観点では、「走りすぎ」を心配するよりも、「体力がない(運動不足)」ことの方が健康にとってより大きなリスクとなります。運動によるリスクの軽減効果は、走りすぎによって完全に失われるわけではありません。
結論として、健康維持や長寿を最大の目的とするならば週に16〜24km程度が「最適」とされますが、それを超えて走ったとしても、走らない場合よりははるかに健康的であると言えます。
ランニングがもたらす素晴らしい変化は、身体面だけにとどまりません。
脳内の化学反応を通じて、メンタル面にも絶大な好影響を与えます。

運動によって脳内でエンドルフィンなどの神経伝達物質が分泌され、強い幸福感や満足感が得られます。
自分の身体に対する肯定的な意識が高まり、自己肯定感(自尊心)が強化されます。
日常的な気分の改善やストレス耐性の向上が認められており、生活の質(QOL)全般が高まります。

ランナーが非ランナーよりも長生きすると確定することはできませんが、走ることによって生活の質(QOL)が上がり、年齢を重ねても自立を保てる能力につながる可能性が高いことは以前のコラムでも紹介しました。
走ること(持久的な運動)はシニア世代になっても長く続けやすい活動で、どんな薬よりも身体的にも精神的にもパフォーマンスを高めてくれるものであることがわかります。
自信がない、一歩が進めないのは臆病でもなく勇気や気持ちがないのではなく、自身を冷静に俯瞰して見れているということ。
足りないものや補わないといけないことがわかっているからでもあります。
何が足りないのか、何を補えばいいのか、成長させる・強くすればいいのかをサポートできる人にまず相談してみてください。
そして行動して見たこと、突き詰めてやって見たことが結果となり、成功も失敗も経験となり、さらに次の行動を起こす自信に繋がっていきます。

・『ランニング・サイエンス「走る」を科学する』著者:ジョン・ブルーワー他 河出書房新社
・Duck-chul Lee, Russell R. Pate, Carl J. Lavie, Xuemei Sui, Timothy S. Church, and Steven N. Blair, “Leisure-Time Running Reduces All-Cause and Cardiovascular Mortality Risk,” Journal of The American College of Cardiology 64 no. 5 (August 2014): 472-481. doi: 10.1016/j.jacc.2014.04.058.
・D. C. Lee, R. R. Pate, and C. J. Lavie, “Running and All-Cause Mortality Risk—Is More Better?,” Medicine & Science in Sports & Exercise 44 no. 5 (2012): S699. Quoted in James H. O’Keefe and Carl J. Lavie,’ “Run For Your Life… at a Comfortable Speed and Not Too Far,” Heart 95 (2013): 516-519. doi: 10.1136/
・Hannah Arem, Steven C. Moore, Alpa Patel, Patricia Hartge, Amy Berrington de Gonzalez, Kala Visvanathan, Peter T. Campbell, Michael Freedman, Elisabete Weiderpass, Hans O. Adami, Martha S. Linet, I-Min Lee and Charles E. Matthews, “Leisure Time Physical Activity and Mortality: A Detailed Pooled Analysis of the Dose-Response Relationship,” JAMA Internal Medicine 175 no. 6 (June 2015): 959-967. doi: 10.1001/jamainternmed.2015.0533.
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