お酒の摂取量はどのくらいであれば、健康に気をつけて、たしなむことができるのか?
と疑問に思われる方が多いです。
今回は、「肥満、生活習慣病のリスクを高めるお酒の摂取量はどのくらいなのか?」、身体や生活に与える影響を考えたお酒の飲み方、お酒との付き合い方を考えてみたいと思います。
がん、高血圧症、脳出血、脂質異常症などのリスクは飲酒量が増えれば増えるほど上昇し、飲酒量が少ないほど良いことがわかっています。
死亡(全ての死因を含む)、脳梗塞、虚血性心疾患は男性では飲酒量が44g/日程度以上、女性では飲酒量が22g/日程度以上になるとリスクが高まることがわかっています。
厚生労働省では生活習慣病のリスクを高める飲酒量(1日あたりの平均純アルコール摂取量)を男性では40g以上女性では20g以上とされています。
※女性は、男性よりもアルコールの影響を受けやすいため、少量の飲酒でも注意が必要です。
・ アルコール分解(代謝)酵素の働きが男性より弱い
・ 体内の水分量が男性より少ない
・ 女性ホルモンにより、アルコールの影響を受けやすい
純アルコール摂取量20g(一合)は、アルコール度数(%)、量により異なります。一般的な目安として参考にしてみてください。
日本酒→度数:15% 量:180ml
ビール→度数:5% 量:500ml
焼酎→度数:25% 量:110ml程度
ワイン→度数:14% 量:180ml程度
ウイスキー→度数:43% 量:60ml
缶チューハイ→度数:5% 量:500m程度または度数:7% 量:350ml程度
※ストロング系の缶チューハイは、度数:9%の場合は量:350ml→純アルコール摂取量25g 2缶で40g以上
または度数:9%の場合は量:500ml→純アルコール摂取量36g 1缶でほぼ40gになる
1日あたりの平均順アルコール摂取量の計算式を参考に計算してみましょう
お酒の量 〇〇(ml)×[アルコール度数 〇〇(%)÷100] ×0.8=純アルコール量 ●●(g)
例えば、
生ビール 大ジョッキ 度数5% 700mlの場合
お酒の量 700(ml)×[アルコール度数 5(%)÷100] ×0.8=純アルコール量 28(g)とわかります
また、飲酒状況から生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している可能性があることを確認してみることができます。
飲酒頻度、平均順アルコール摂取量から(添付資料を参照ください)、リスクの可能性を振り返り、お酒の飲み方を見直してみることをおすすめします。
生活習慣病のリスクを高める量を飲酒しているパターンは、下記の通りとなります。
男性の場合
1日あたりの平均順アルコール摂取量 40〜60gで飲酒頻度週5日以上のパターン
1日あたりの平均順アルコール摂取量 60〜100gで飲酒頻度週3〜4日のパターン
1日あたりの平均順アルコール摂取量 100g以上で飲酒頻度週1〜2日または月1〜3日のパターン
女性の場合
1日あたりの平均順アルコール摂取量 20〜40g以上で飲酒頻度週3〜4日以上のパターン
1日あたりの平均順アルコール摂取量 60〜100gで飲酒頻度週1〜2日以上のパターン
1日あたりの平均順アルコール摂取量 100g以上で飲酒頻度週1〜2日または月1〜3日のパターン
厚生労働省が報告した生活習慣病のリスクを高める飲酒量(1日あたりの平均純アルコール摂取量)を超えている生活習慣パターンの場合、肝臓などの内臓器だけでなく、脳や精神面に影響を及ぼし、認知症やうつ病の原因となることがわかっています。
お酒を飲まない人との死亡リスクを比較すると飲酒量が増える程リスクが高まります。
1日の飲酒量が46〜68gで1.05倍、69〜91gで1.58倍、92g以上で1.42倍以上
※死亡リスクが1を超えると飲まない人と比べて死に至る危険性が高い状態
健康診断やがん検診の検査結果と合わせて飲酒量の関係性を見直してみることは健康を考える上で大切です。
アルコールによる主な臓器障害
脳・精神→認知症、うつ病、摂食障害、脳出血、自殺など
喉・食道→食道・咽頭がんなど
心血管系→高血圧、虚血性心疾患など
肝臓→脂肪肝、肝硬変、肝臓がんなど
胃・十二指腸・小腸・大腸→胃・十二指腸潰瘍、大腸がんなど
膵臓→糖尿病、膵炎、膵がんなど
生殖器→男性ホルモン低下、睾丸(精巣)萎縮、乳がん、奇形児の出産リスクなど
皮膚→色素沈着、早期老化など
神経・筋肉→手の震え、神経痛、骨粗鬆症、大腿骨壊死など
その他→痛風、脂質異常症、高尿酸血症など
お酒を飲んでしまう原因は脳の仕組みが関係していることがわかっています。
アルコール摂取の繰り返しにより、快楽に関連する脳内物質であるドーパミンが増加してもっと飲みたいと一時的に感情が高まり飲酒を続けてしまいます。
飲酒行動が強化されてしまい、初めは飲酒量をコントロールできていたことが次第に難しくなってしまいアルコール中毒へと繋がってしまいます。
そもそも日本人の約半分(44%程度)はお酒に対して分解酵素の働きが弱いまたは持たない人が多い人種と報告されています。
飲酒による健康への影響やアルコールの分解(代謝)能力は年齢や体質などで異なります。
年齢が上がるほど能力は低下していき飲酒による健康への影響は危険度を増加させることがわかっています。
また、性別や心理面、飲酒環境などの状況により分解読度が異なることもわかっています。
以上
胃や小腸からのアルコール吸収をゆるかやにして、血中のアルコール濃度が上がるスピードを緩めること(空腹で飲まない、バランスの良い食事と一緒に飲む、水やノンアルコール、お茶などと交互に飲む、ゆっくり飲む、グラスを空にしない)を意識されて、年齢、体質、性別などを考慮して、今と未来の自分にとって適当な量を考えながらお酒と付き合っていくことが大切です。
厚生労働省『習慣を変える、未来に備える あなたが決める、お酒の嗜み方』