「運動を始めてみたけれど、どのくらいのペースで走ればいいかわからない」「一生懸命走っているのに成果が出にくい」と感じたことはありませんか?そんな運動初心者やスポーツ愛好家の方におすすめしたいのが、自分の心拍数を基準に運動強度をコントロールする「心拍トレーニング」です。
心拍トレーニングとは、心臓の拍動数という客観的な指標をもとに、自分に最適な運動強度を管理する手法です。
走行ペースや移動距離だけに頼ると、その日の体調、睡眠状態、ストレス、気候などの影響を見落とし、知らず知らずのうちにオーバーワーク(過剰トレーニング)や怪我につながるリスクがあります。
心拍数をリアルタイムでモニタリングすることで、身体にかかる実際の負担を正確に把握し、安全かつ確実にトレーニング効果を引き出すことができます。
近年ではApple Watch(アップル)、GARMIN(ガーミン)、POLAR(ポラール)、HUAWEI(ファーウェイ)等のメーカーが手軽に心拍数、睡眠、歩数、運動情報などのデータを測定でき健康管理機能のついたヘルスケアウォッチが人気となっています。
お使いのスマートフォンを用いて手軽にデータを管理、チェックすることができます。計画的にスケジュールを組み、見直すことができデータを元にアドバイスももらえることから、アスリートやスポーツ愛好家だけでなく、トレーニング初心者にも扱いやすく、更に人気を高めています。

心拍トレーニングを始めるにあたり、最初に習慣化したいのが毎朝起床直後の「安静時心拍数(RHR)」の測定です。
心臓が鍛えられると、1回の拍動で送り出せる血液量(1回拍出量)が増えるため、より少ない拍数で全身に血液を行き渡らせることができるようになり、安静時心拍数は下がっていきます。
普段よりも安静時心拍数が高い(+5〜10拍/分以上増加など)場合は、疲労の蓄積、不完全な回復、精神的ストレス、あるいは風邪などの病気の初期症状を示しています。
筆者も過去にウイルス感染症(インフルエンザ、新型コロナ)に感染した際に安静時心拍数や平常時の心拍数に増加のシグナルが見られ、事前に運動スケジュールを変更したり、家族やクライアントの皆様への感染させてしまわないように注意する数値としても利用しています。
毎朝の数値をチェックすることで、その日の運動強度を落としたり休息日に切り替えたりといった適切な判断が可能になります。

心拍トレーニングでは、最大心拍数(MHR)に対する割合(%MHR)をもとに、目的別の4つのフェーズに分けて段階的に身体を鍛えていきます。




同じ人であっても、自転車の最大心拍数はランニングより毎分5〜10拍程度低く設定するのが鉄則です。
自転車の特徴として、サドルに体重を預けるため使う筋肉量が少なく、前傾姿勢により心臓への血液の戻りがスムーズであることなどが理由です。種目ごとに別々の心拍ゾーンを設定して管理していきましょう。

暑い日や水分が不足した状態で運動を続けると、強度や運動ペースを変えていなくても心拍数がじわじわと上昇していく「カーディアック・ドリフト(心臓のクリープ現象)」が発生します。
体温を下げようと皮膚への血流が増え、汗で血液量が減るため心臓に負担がかかるのが原因です。
運動中も15〜20分ごとにこまめな水分補給(1口〜コップ1杯程度:約150ml)を行い、体内の水分量を保つことが予防になります。

怪我を防ぎながら体力を向上させるには、1週間あたりの運動量(時間や距離)の増加を10〜15%以内にとどめるトレーニングの原則「漸進性」を守ることが非常に大切です。
心拍トレーニングは、周囲のペースに惑わされず「自分の身体の声」を客観的に聴くための最高のツールです。
スマートウォッチや心拍計を活用して、安全に楽しくステップアップしていきましょう。
次回はご自身の年齢や安静時心拍数をあてはめた具体例:初心者向けの週間スケジュール案などを紹介します。

・『心拍トレーニング〜個人のデータと目的に基づくトレーニングプログラム』著者:Roy Benson,Declan Connolly 訳者:長澤純一
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