「ランニングを始めたいけれど、息が上がりすぎて続かない」「自己流で走って膝やアキレス腱を痛めてしまった」という経験はありませんか?
40歳からのトレーニングにおいて大切だと考えるのは、ペースや距離を競うことではなく、「心拍数」という客観的な指標で身体にかかる負荷をコントロールすることです。
今回は、年齢40歳、推定最大心拍数180 bpm・安静時心拍数70 bpmを基準に、有酸素運動の基盤を築き、腱や靭帯を安全に強化する「フェーズ I:持久力(目標心拍数:136〜153 bpm)」を中心としたジョギングメニューをご紹介します。

40歳という年齢をもとに心拍トレーニングに計算式と具体例から目標心拍数の数値を算出します。
一般的な予測式(220 − 年齢)によると、40歳の方の推定最大心拍数は 180 bpm(拍/分) となります。
40歳・安静時心拍数(RHR)70 bpm のケースにおいて、カルボーネン法(個人の安静時心拍数を考慮した運動強度計算式)で算出した具体的な数値表は下記の通りです。

目的: 脂肪燃焼能力の改善と有酸素運動の基礎作り、腱や靭帯の強化
目的: 酸素負債耐性の向上、無酸素性作業閾値(AT/LT)の引き上げ
目的: 高負荷下で効率よく目標ペースを調整・維持する能力の向上
目的: 短時間での最大努力と、乳酸上昇への耐性・スピード発揮

心拍トレーニングの初期段階であるフェーズ I(60〜75% MHR)には、運動を長く安全に楽しむための2つの決定的な目的があります。
脂肪を優先して燃焼する代謝能力の向上
グリコーゲン(糖質)の消費を抑え、体脂肪をエネルギーとして効率よく使える代謝回路を育てます[。
腱や靭帯など「伝達系組織」の強化
筋肉と比べて血液供給が少ないアキレス腱や足底腱膜、関節周囲の結合組織は、適応に時間がかかります。このゾーンでじっくり走ることで、怪我のリスクを大幅に減らす土台が完成します。

毎回のトレーニングは、急激な血圧・心拍数の上昇を防ぐため、必ず3つのステップで進めます。
① ウォームアップ(5〜10分):早歩きや極めて軽いジョグで徐々に身体を温め、心拍数を下限の136 bpm付近まで引き上げます]。
② メインジョギング(20〜30分):目標心拍数136〜153 bpmの範囲内をキープしながら走ります。
③ クールダウン(5〜10分):徐々に歩行へ切り替え、心拍数を136 bpm未満まで戻して疲労回復を促します。

低めの強度で走ることで、疲労を抜きつつ有酸素基盤を維持します
走るペースを少し上げ・下げし、心拍数を136〜153 bpmの間で行き来させます。乳酸を過剰に溜めずに刺激を与え、心肺の対応力を高めます。
153 bpmを超えない「会話ができるペース」で長く走り、腱や靭帯をじっくり強化します。




心拍トレーニングでフェーズ I(持久力向上)からフェーズ II(スタミナ向上 / 75〜85% MHR)などの次の段階へ安全かつ効果的に移行するための主な目安は、以下の通りです。
フェーズ I の上限である 75% MHR(最大心拍数の75%)を超えず、途中で歩いたり休憩を挟むことなく、設定した運動時間を最後まで継続できるようになることが第一の基準です。
筋組織だけでなく、血液供給が少ない靭帯・腱・関節などの伝達系組織が十分に強化され、運動後や翌日に痛みや強い筋疲労が残らない状態になっている必要があります。
毎朝の安静時心拍数がトレーニング開始前よりも低下し(心臓の1回拍出量が増加した証拠)、運動後の心拍数の戻りや疲労回復がスムーズになっていることも重要な指標です。
有酸素の代謝基盤や腱・骨の強度を整えるため、初心者・初級者の場合は 12〜14週間程度 の基礎構築期間(LSDやファルトレク)を段階的に実施することが推奨されています。
これらがクリアできていれば、有酸素運動の十分な基礎ができていますので、目標心拍数を75〜85% MHR(40歳・RHR70想定の場合、約153〜164 bpm)に引き上げるフェーズ II(スタミナ向上)へと安全にステップアップする準備が整ったと判断できます。

起床直後の心拍数が普段より5〜10 bpm以上高い日は、疲労蓄積や体調不良のサインです。その日は走るのを休み、休養やストレッチに充ててください。
「調子が良いから」と急に走行距離や時間を伸ばすと、腱や関節の炎症を招きます。週あたりの増加幅は10〜15%以内にとどめましょう。
脱水が進むと、同じペースで走っていても心拍数が上昇し続けてしまいます。運動中も15〜20分ごとに一口〜コップ1杯程度の水分を摂取しましょう。

繰り返しとなりますが、怪我を防ぎながら体力を向上させるには、1週間あたりの運動量(時間や距離)の増加を10〜15%以内にとどめるトレーニングの原則「漸進性」を守ることが非常に大切です。
心拍トレーニングは、周囲のペースに惑わされず「自分の身体の声」を客観的に聴くための最高のツールです。
まずは周囲と競うことよりも自分の考えを大事にすること、何のために運動するのか。その最大の目的に近づけるために何が大切だと考えることが大事です。
40歳からのランニングは自分との「競争」ではなく「対話」と考えるのではどうでしょうか?
心拍数という確かなデータに耳を傾け、焦らず、確実に一生モノの足腰と心肺機能をてに入れ、
スマートウォッチや心拍計を活用して、安全に楽しくステップアップしていきましょう!
追記
今年話題となった国内最高齢(90歳)の現役ボディビルダー・金澤利翼(かなざわ としすけ)氏は、50歳を機に肉や魚、乳製品を一切摂らない食事に移行し、玄米や納豆、みそ汁などの伝統的な和食中心の食生活と運動習慣の継続を徹底しています。
金澤氏は130歳まで生きることを何よりも優先的な目標としており、老化はコントロールできないものであり、食事と運動を通して老化のプロセスを遅らせる方法を常に模索して、食事以外にも、遺伝、トレーニング経験、ライフスタイル、その他多くの要因が老化と健康に影響を与えると考えられている。
考えることの継続と行動することの努力もまた不可欠なことと言われていました。
・『心拍トレーニング〜個人のデータと目的に基づくトレーニングプログラム』著者:Roy Benson,Declan Connolly 訳者:長澤純一
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