血液中の脂質の値が基準値から外れた状態を脂質異常症といいます。
脂質異常症は、日本人の3大死因の危険因子としても知られていますが、命に関わる病気の危険因子にもかかわらず、自覚症状が特にないため、「沈黙の病気(サイレント・ディジーズ)」と言われ注意する病気の一つです。
LDL(悪玉)コレステロール、HDL(善玉)コレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)の血中濃度に異常があり、HDLコレステロール以外が必要以上に濃度が高くなり、動脈硬化の促進と狭心症、心筋梗塞、脳血管障害など命に関わる病気につながる危険因子となります。
※動脈硬化の3大危険因子は、脂質異常症、喫煙、高血圧症です。
発症要因の多くは生活習慣です。
運動不足、動物性脂肪、糖分やアルコールの過剰摂取などが原因で起きこります。
中性脂肪は食べ物に含まれる糖質から肝臓で合成し、皮下組織に貯蔵されエネルギーとなります。
中性脂肪が消費しきれずに過剰摂取になっていると、血液により全身へ運ばれ、皮下脂肪や内臓脂肪として蓄積されます。それにより肝臓や心臓機能が低下し、病気への抵抗力が弱くなり糖尿病や動脈硬化、痛風、胆石などの合併症を併発しやすくなります。
20~30代では女性ホルモンの影響で血管が守られる傾向にありますが、40~50代を過ぎて閉経後になると女性ホルモンの分泌が減るため、LDLコレステロールが上がりやすくなるため、生活習慣には注意が必要です。
予防・改善策として下記のポイントが報告されています。
(1)魚介類を食べる
魚に含まれるEPAやDHAは、血中のコレステロールや中性脂肪を減らす効果があるため、肉類と魚介類の食べるバランスを魚介類を多めにする
(2)副菜に野菜・海藻を食べる
野菜や海藻の食物繊維は、余分なコレステロールや中性脂肪を排出し、小腸での吸収を抑ええてくれる働きがある。最初に野菜を食べるよう意識する
(3)大豆を積極的に食べる
大豆に含まれる大豆イソフラボンは、サラダに蒸し大豆を加える。おつまみは冷奴を選ぶ。豆乳、納豆など手軽に始められることから試みる
(4)週3日の有酸素運動を実施する
有酸素運動は、HDLコレステロールを増やすという報告があり、週3回、1日30分程度を目安に実施する(15分×2セットも可)
以上
定期的な健診結果から血中コレステロール数値の異常が見られた場合は早期に生活習慣の見直しに取り組むことをお勧めいたします。
参考
・Newton別冊「からだの検査数値」
・厚生労働省「e-ヘルスネット」